研究概要 |
前年度にD. Cheptea氏,G. Massuyeau氏と共同で、曲面のラグランジアン同境のなす圏から、あるJacobiダイアグラムの圏への、Kontsevich-Le-Murakami-Ohtsuki不変量型の関手を構成したが、今年度は、G. Massuyeau氏と共同のプレプリント"Symplectic Jacobi diagrams and the Liealgebra of homology cylinders"(投稿中)において、上記の関手を応用した。曲面のホモロジーシリンダーのなす半群をY_n手術同値関係で割って得られる群を集めて構成されるLie代数が、ある種のJacobiダイアグラムのなすLie代数と同型であることを証明した。後者は、あるHopf代数の原始元のなすLie代数と同一視できるが、このHopf代数における乗法は、Moyal-Weyl積のダイアグラム的な類似とみなすことができることも観察した。また、曲面の写像類群のTorelli部分群は、写像柱構成により、ホモロジーシリンダーのなす半群に自然に埋め込むことができ、この埋め込みによって、Torelli部分群の降中心列は、ホモロジーシリンダーのY-フィルトレーションに移され、これは、Torelli部分群に付随するLie代数から、上記のJacobiダイアグラムのなすLie代数への準同型となるが、この準同型の組み合わせ的な記述を、HainによるTorelli部分群に付随するLie代数の代数的表示と関連付けて行った。この準同型が次数2において単射となることを証明し、一般の次数についての議論も行った。
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