研究概要 |
前田(代表者)は,足立(名工大・教授)と共同でBull. Aust. Math. Soc. 77(2008),1-8とTohoku Math. J. 60(2008),597-605において,複素射影空間内の$A_2$型超曲面を特徴付ける結果をそれぞれ発表した。従来,$A_2$型超曲面と$A_1$型超曲面(即ち,測地球面)は識別することは難しかったが,$A_2$型超曲面は$A_1$型超曲面と違いextrinsic geodesicを無限に含むことに着目して,$A_2$型超曲面だけの特徴付けに成功した。またこれにより複素射影空間の幾何構造と複素双曲型空間のそれとの違いも分かるようになった。例えば,複素双曲型空間内の任意のA型超曲面はextrinsic geodesicsを全く含まないこと等。 また,足立,Kim Young Ho(韓国慶北大・教授)と共同でJ. Math. Soc. Japan61(2009),315-325において,複素双曲型空間内の等質線織実超曲面の特徴付ける結果を発表した。この例は,複素双曲型空間内の等質non-Hopf超曲面の代表例であり,しかも複素双曲型空間内の等質極小実超曲面の唯一の例と思われる。その意味でこの例だけを特徴付けるのは意味がある。この特徴付けは,特性ベクトル場の積分曲線に着目することによって得られている。即ち,任意のHopf超曲面の特性ベクトル場の積分曲線は複素直線上の円であるが,この等質線織実超曲面の特性ベクトル場の積分曲線は全測地的実射影平面上のホロサイクルな円になっている。この性質に着目してこの実超曲面を特徴付けた。
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