本年度は、例外極小集合に関して、ツイスト写像における例外極小集合の位相的特徴、微分可能性と極小集合の関係、連結例外極小集合の分解不可能性について研究を行った。 はじめに、ツイスト写像の例外極小集合について研究した。アニュラスの同相写像で、境界で逆向きに回転しているものをツイスト写像という。これは、支点を上下に動かす振り子などの数学モデルになっている。動的ハミルトニアンの難しさを説明するときによく用いられ、古くから研究されてきた。しかし、いまだに未解決の部分をたくさん含んでいる。そこで、ツイスト写像の難しさを極小集合で表現しようと試み、ツイスト写像の例外極小集合として有名なオーブリー・マザー集合について解析を行った。 次に、2階微分と例外極小集合の関係について研究した。台風がいつ目を持つかについて考える。台風がゆっくりと動き、強く回転すれば目ができる。一方、速く動き、ゆるく回転すれば目を持ち得ない。これを極小集合を用いて表現することを試みた。台風の回転は2階微分で表されるため、2階微分と極小集合の形について研究することとなった。 これまでに、ビシとバルチャックとの共同研究で、曲面の同相写像における局所連結な極小集合の分類を行い、特に、局所切断点を持たない局所連結な極小集合がシェルピンスキー・カーペットを貼り合わせてできる集合と同相であることを証明した。そこで、これを一般化する試みとして、連結な例外極小集合が、分解可能であるかについて研究した。ここで、分解可能であるとは、その集合が2つの連続体の和集合になっているときをいう。アポシンデティックな点の存在と密接に関係しているため、局所連結でない連結例外極小集合の研究の出発点として最適なものと考えている。
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