研究概要 |
研究代表者は、本年度、合同部分群に関する尖点形式のヘッケ作用が、具体的にどう表されるかを研究した。台湾の研究者Yifan Yangとの共同研究により、尖点形式の周期多項式をベルヌーイ数により表すことが可能になった。その結果、合同部分群がGamma_0(2)の場合、ヘッケ行列がベルヌーイ数を用いた式で表せる事になった。現在では、数式処理ソフトウエアを使って簡単にヘッケ行列が計算できる。以上の結果をYifan Yangとの共著論文「Period polynomials andexplicit formulas for Heckeoperators on \Gamma_0(2), Math. Proc. Cambridge Philos. Soc. 146(2009)321-350」にて発表した。またこれに続く結果を同じく共著論文「Twisted Hecke L-values and period polynomials, http://arXiv.org/abs/0903.4785」で公表した。 二つ目のテーマとして楕円デデキント和の研究も進めており、多項式相互法則を有するデデキント和の例を新たに発見し、現在その性質を代数的および解析的に研究中である。 一方、研究分担者は結び目理論の中で現れるバシリエフ不変量の研究を進めた。結び目の局所的変形でバシリエフ不変量がどう変化するかという問題意識の下で、二つの論文「C_n-moves and V_n-equivalence for links」および「SC_n-moves and the(n+1)-st coefficients of the Conwaypolynomials of links」を完成させた。これらは雑誌Tokyo J.Math.に掲載されることが決まっている。
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