本研究は、最近筆者が提起した以下の2つの予想に取り組み、究極的な目標としてこれらのclutterのクラスを統合する、より広い自然なクラスを同定することを目指し、その取り組みの中で得られた様々な新しい問題群等も併せて考察することを目的としている。(予想1):有向マトロイドの正サーキットからなるclutterのidealityは「縮退した射影平面、odd-hole clutterとそのblocker」の3つの無限系列をcoreに持つminimally non-ideal clutterのみを、禁止マイナーに持つであろう(予想2):Escher wallを含まないグラフのもつ5点以上の奇数点コードレスサイクル、もしくはその補グラフをなす点集合をhyper-edgeとするclutterのidealityは「縮退した射影平面、odd-hole clutterとそのblocker」の3つの無限系列をcoreに持つminimally non-ideal cltterのみを禁止マイナーに持つであろう。予想1に関連する取り組みについて:本年度は、現在我々が得ている証明のプロセスを再検討し(とりわけ、${\mathca1{J}}_n$-freeなclutterの特徴付けを用いて)新たな分解構造定理の構築を目指し、計算機を用いた予備的な考察や実験などを行なった。予想2に関連する取り組みについて: このクラスのclutterを手計算で構成するのは困難であるため、グラフのコードレスサイクルを列挙する効率的なアルゴリズムを利用して、計算機上で具体例を観察する必要がある。本年度はこのアルゴリズムを完成させた。更にこの研究開発の過程で、「oddholeのrecognitionは多項式時間で判定可能である」という当該研究分野の最も重要な未解決予想に対して、本質的な貢献をもたらすことが期待される新しい証明手法が発見された。またbasis graphからマトロイドのランクの最小値を求めるアルゴリズムの開発に際しても大きな進展があった。これらの結果は、それぞれ別々の国際会議に投稿中である。
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