本研究は、最近筆者が提起した以下の2つの予想に取り組み、究極的な目標としてこれらのclutterのクラスを統合する、より広い自然なクラスを同定することを目指し、その取り組みの中で得られた様々な新しい問題群等も併せて考察することを目的としている。 (予想1):有向マトロイドの正サーキットからなるclutterのidealityは「縮退した射影平面、odd-hole clutterとそのblocker」の3つの無限系列をcoreに持つminimally non-ideal clutterのみを、禁止マイナーに持つであろう。 (予想2):Escher wallを含まないグラフのもつ5点以上の奇数点コードレスサイクル、もしくはその補グラフをなす点集合をhyper-edgeとするclutterのidealityは「縮退した射影平面、odd-hole clutterとそのblocker」の3つの無限系列をcoreに持つminimally non-ideal cltterのみを禁止マイナーに持つであろう。 予想1に関連する取り組みについて:本年度は、現在我々が得ている証明のプロセスを再検討し、新たな分解構造定理の構築を念頭に新しい証明の枠組みを構築した。その結果をチュニジアで開催された権威ある国際会議ISCOにおいて招待セッションで講演し、高い評価を受けた。 予想2に関連する取り組みについて:「odd holeのrecognitionが多項式時間で判定可能なグラフのクラス」として、claw-free graphの族に着目することに思い至り、研究が進展した。claw-free graphsについては、ごく最近Seymour & Chudnovskyらのdecomposition theoremという非常に深い結果が得られたが、これらの結果を複合的に用いて、claw-free graphsの族についての結果が得られることが解明できた。この方針の下で引き続き研究を続けている。グラフ上の点素な偶サイクルのパッキングに関する未解決予想の肯定的解決と、グラフ上のいわゆる15パズル問題の一般化に成功し、それぞれ、22年度の格式ある国際会議EuroComb 09に受理され、高い評価を受けている。
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