研究概要 |
初年度たる本年度は、問題点の明確化と基盤作りを中心として、下記のように研究を実施し実績を挙げた。 1.まず文献調査による在来手法の整理・比較検討から始めた。幸い、Arnold、Brezziらの優れたサーベイ論文の解読により、楕円型問題については従来の不連続ガレルキン法の概要の理解と整理ができた。さらに,成書としてLiの教科書も刊行され、双曲型方程式等についての不連続ガレルキン法に対する知見も得られた。また、Thomeeの教科書も、発展方程式については有益である。事後誤差評価については、かなりの文献が入手可能で,それらを精読した。これらに伴い、資料収集・整理、書籍の購入をした。同時に、従来の不連続ガレルキン法の問題点も明らかになり、我々の既存の成果や文献調査結果の活用により、新たな計算法の設計と開発も可能になってきた。特に、Pianらのハイブリッド法に関する教科書は有益で、その手法は不連続ガレルキン法に応用可能と考え、具体的な行動を開始した。さらに、国内外での情報収集や研究者との直接交流に努めた。 2.既存の手法中で典型的なものにつき、追試数値実験をした。数値計算の性格上不可欠な応用家との意思交換には、既存の手法でも理屈だけでなく自らの追体験が必要である。本年度は基礎的実験が中心だったので,導入した計算解析装置で十分に実行できた。また、プログラム開発とデータ整理に、導入した計算機言語ソフトや謝金が活用できた。 3.非適合有限要素法の不連続ガレルキン法としての定式化や事前・事後誤差解析には、混合型有限要素法との関連付け、見直しが有効と考えられたので、研究代表者の経験も活かして考察し、成果の一部は国際会議等で発表した。 4.不連続ガレルキン法と事後誤差解析の対象としては、Poisson方程式の境界値問題が基本だが、ついで弾性力学、電磁気学、流体力学等の問題、放物型方程式の初期値・境界値問題等が重要である。これらについては、手法の開発と解析はより困難であり、関数解析的アプローチ等に基づく鋭い数学的考察が必要で,旅費を活用し先進技術の収集と研究交流をはかった。 5.事後誤差評価には、事前誤差評価の結果も利用するが、その際に各種の正定数が現れ、そのシャープな上界と,出来れば下界が必要である。この点についてはすでに成果を得たが、さらに探求・整理をし、精度保証計算への応用法も提案した。 6.本年度は研究の準備段階だが、幸い一定の成果が得られ、一部を発表できた。その際に旅費や導入したプレゼンテーション機器、ソフトウェアが有効に活用できた。
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