研究課題
1.関孝和の「解伏題之法」(西田明則旧蔵書にも写本一冊)には現代数学の言葉で言えば、終結式・行列式のことが書いてある。2次行列、3次行列、4次行列について、それぞれ、4=2×2項書いて2項打ち消し合い2項、18=3×2×3項書いて12ニ3×2×2×1項打ち消し合い6==3×2×1項、96項書いて72=4×3×2×3項打ち消し合い24=4×3×2×1項残る。このような計算を関孝和は逐式交乗と呼び表にまとめている。2次行列、3次行列、そして4次行列の場合、この表からうまく組み合わせられて交式斜乗で表わされることを関孝和は主張したことであった。この表のまとめる順番は相消し合う項の順にしてあるということを報告者は初めて指摘し、5次以上の行列についても同様に逐式交乗の表が作れると関孝和は確信していたであろうが項数が多くなりかなり煩瑣になるとして交式斜乗に取り換えようとして誤ったと推察した。2.関新助孝和の伝記的な面について、ある甲府分限帳を調査する機会を得てその記録を活字化することにより明らかにしたが、跡目相続を伝えた者、花房平左衛門の出自と養父関十郎右衛門が常陸出身であることの関連、花房平左衛門が亡くなったのが寛文13年2月7日で、9月21日から改元されて元号が延宝になった年であり、それは、『楊輝算法』の筆写を終えて年紀「寛文癸丑仲夏下浣日」を入れたと考えられる年であり、5月下旬ということは、花房平左衛門が亡くなって百日くらい経ったときであることを指摘した。3.西田明則は旧臣原簿籍に明治維新前は作事方であり、添家業測量方となったことが岩国徴古館の資料からわかっているが、明治十年代以降には東京湾海堡建設に尽力した。その事跡の基礎には内田五観門下として称平術を研究したことにあるとの見解を示した。研究成果の一部は歴史秘話ヒストリア第55話(NHK総合テレビ2010年11月3日22時放送)や放送大学特別講義(2011年5月8日23時放送)の番組制作に反映された。
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京都大学数理解析研究所講究録
巻: (掲載予定)
Proceedings of the International Conference on History of Mathematics in Memory of Seki Takakazu(1642?-1708) published by Springer-Verlag
巻: (掲載予定) ページ: 3-20
巻: 1677 ページ: 47-58