研究概要 |
平成19年度は連続体とその部分集合を組合せ論的集合論や記述集合論の観点から調べた。特に、強制法の理論の、実数直線の組合せ論的構造を表現する基数不変量への応用や、射影的階層の低いレベルにおける可測性の性質と強制法の関係に焦点を絞って研究を行った。主な研究成果は下記通りである。 (1)Mad families on singular cardinals.無限基数κの部分集合からなる族Aがalmost disjointであるとは、全てのAの元の濃度がκで、2つのAの元の共通部分の濃度がκより小さいときをいう。包含関係に関して極大なalmost disjointな族をmaximal almost disjointな族(またはmad family)と呼ぶ。κの共終数cf(κ)以上の濃度を持つ、κ上のmad familyの最小濃度をalmost disjointness number α_κという。このとき、α_κ〓α_<cf(κ)>が明らかに成り立つ。可測基数の存在の無矛盾性のもとで、可算共終数の特異基数κに対して、α_κ<α_ωの無矛盾性を示した。この証明において、κ上のmad familyを付け加えるcccを満たす新しい強制法とともに、洗練されたtemplate反復強制法が使われている。 (2)Eventually different reals forcing. Benedikt Lowe(ILLC,オランダ)との共同研究では、eventually different reals forcingに対応するベール空間ω^ω上のトポロジーのベールの性質を調べた。特に、「全てのΣ^1_2-集合がベールの性質をもつ」と「全ての実数χに対して、ω_1がL[χ]において到達不可能である」という2つの命題が同値であり、「全てのΔ^1_2-集合がベールの性質をもつ」という主張がΣ^1_2-ルベーグ可測性から導かれ、古典的なΔ^1_2-ベールの性質を導くことを証明した。
|