研究課題
平成20年度は連続体とその部分集合の構造を組合せ論的集合論や記述集合論の観点から調べた。特に、強制法の理論の最新の技術を用いることによって、実数直線の組合せ論的構造を表現する基数不変量、自然数上の極大フィルター、射影的階層の低いレベルにおける可測性などに焦点を絞って研究を行った。主な研究成果は下記通りである。(1)射影的階層における可測性。Benedikt Lowe(ILLC,オランダ)との共同研究で、eventually dlfferent treals強制法Eに対応するベール空間上のトポロジーのベールの性質を調べた。特に、Hechlerのモデルを使うことによって、「古典的なΣ12ベールの性質が成り立つが、△12E-ベールの性質が成り立たない」ことの無矛盾性を得た。これを示すために、Hechler強制法の組合せ論的性質を詳細に調べており、dominatingな実数以外のeventually dlfferentな実数が付加されないことを証明した。(2)極大フィルターの存在とジェネリック存在。Jana Flaskova(University of West Bohemia,チェコ)との共同研究で、Iが密度ゼロイデアルまたは総和可能イデアルの場合について、I-極大フィルターの存在とジェネリック存在を調べた。特に、密度ゼロ極大フィルターのジェネリック存在を特徴づける基数不変量の下界と上界を発見した。(3)解析的な商構造に関連する基数不変量。総和可能イデアルIについて、P(N)/finとP(N)/Iの構造の比較に着手した。特に、それぞれの構造に対してある基数不変量の値が異なるようなモデルを構成することによって、P(N)/finとP(N)/Iが同形でないことの無矛盾性を示した。
すべて 2009 2008 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Bulletin, Classe des Sciences Mathematiques et Naturelles, Sciences mathematiques, Academie Serbe des Sciences et Arts, Beograd 33
ページ: 91-130
The Journal of Symbolic Logic 掲載決定(掲載決定)