研究概要 |
統計科学に現れる超平面配置の問題のうち,今年度は主として有限体法を一般化する問題に取り組んだ. Kamiya, Orlik, Takemura and Terao (2006)では,1次元の場合のランキング・パターン数を求めるために,中面超平面配置という超平面配置を定義した.そしてその部屋の数を求めることで,ランキング・パターン数を求めた.その際,中面超平面配置の特性多項式を求めるために,有限体法を用いた.この有限体法においては,素数qに対して中面超平面配置のq-reductionを考え,そのcomplementの点の数を数えることで,特性多項式を求める. ここで用いた有限体法は,中面超平面配置に限らず,R^mの一般の超平面配置に対して考えることができる.その際に重要なこととして,本研究では,q-reductionのcomplementの点の数を数える問題は,qが必ずしも素数ではなく,一般の自然数の場合にも考えることが出来るという点に着目した. そして本年度は,.一般のcentralな超平面配置に対し,そのq-reduction(q:自然数)のcomplementの点の数が,.qのquasi-polynomialとなることを,単因子論を用いることにより示した.さらにこのquasi-polynomialのconstituentsのうち,周期と互いに素なqに対するものが,元の超平面配置の特性多項式に一致することも示した.これらの結果は,H. Kamiya, A. Takemura and H. Terao, Periodicity of hyperplane arrangements with integral coefficients modulo positive integersとしてまとめられている. ここで得た結果は有限体法の一般化と考えることができ,具体的な超平面配置に対し,実際にq-reductionのcomplementの点の数を数え,あてはめにより特性多項式を求める際にも,計算量の観点から有効に利用することが出来る. さらに引き続き,一般にcentralとは限らない超平面配置に対しても,上の結果を拡張することを試みているところである.
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