研究概要 |
以前,本研究代表者は,Stratonovich型の確率常微分方程式(SODE)に対する確率Runge-Kutta (SRK)族を提案し,それを基にSRKスキームを導出した(Y. Komori, J. Comput. Appl. Math., 2007).これらの結果を利用して研究を進めていたが,計算コストの面で改善すべきところがあり,また,それが可能であるとわかった.それゆえ,この欠点,つまり,計算コストがWiener過程の次元に比例して増大するという欠点を克服したSRK(スキームを導出した.いくつかの既存のSRKスキームと比較する数値実験を行い,本SRKスキームが,計算で用いる擬似乱数の個数においてだけでなく,拡散係数に関する計算回数においても効率的であることを示した.以上の結果をまとめ,J. Comput. Appl. Math.に論文を投稿した.本論文は一度修正を求められた後,現在査読中である 上で導出したSRKスキームは4段スキームであった.これと同様に拡散係数に関しては4段であるが,ドリフト係数に関しては一般のs(>=4)段のSRK法を考察し,陽的スキームであるにも関わらず,平均二乗の意味で絶対安定領域が負の実軸周りに広いSRKスキームを導出した.数値実験においてこれらのSRKスキームを 1)確率偏微分方程式を空間離散化して得られるSODEや 2)硬い(解きにくい)SODE に適用し,その有効性を確認した.以上の結果をまとめ,SIAMの雑誌に論文を投稿した.本論文は現在査読中である
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