研究概要 |
本年度の目的の一つは順序数の三つ以上の有限積の考察をすることであった。平田氏との共同研究で、順序数の有限積を考える上必要な順序数そのものの性質がひとつわかり、イタリア・シシリー島・エリーチュで行われた国際会議「Advances in Set-Theoretic Topology」で発表した。位相空間(X,τ)が線型順序(整列順序)付け可能とは、X上の線型順序(整列順序)<が存在して、その順序から導かれる位相と元の位相τが一致することである。この会議で 定理.順序数の部分空間は常に線形順序付け可能である。 について述べ、更に順序数の部分空間が整列順序付け可能であることの必要十分条件にについて述べた。本研究代表者を含め、この分野の大多数の研究者が最小非可算順序数ω1のstationary co-stationary subsetは線型順序付け不可能と予想していたが、否定的な結果が得られ驚いている。これらは近いうちにどこかに掲載されるであろう。 また、矢島氏との共同研究ではβ-sequenceがどのような場合にcompact closureな持つかについて考察され、Topology and its Applicationsに掲載された。位相空間の点列{Xn}がβ-sequenceであるとはその任意の部分列が触点を持つことを言う。点列{Xn}の閉包がコンパクトのときその点列はcompact closureを持つと言う。明らかに、点列がcompact closureを持てばそれはβ-sequenceである。あるいは、可算コンパクト空間における任意の点列はβ-sequenceである。次の事柄がわかった。 定理.Monotonic normal空間におけるβ-sequenceは常にcompact closureを持つ。 定理.通常の集合論の下では「perfectly normal空間のβ-Sequenceがcompact closureを持つ」という命題の肯定も否定も証明できない。
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