本年度は本研究の総仕上げとして、無限積の理論の応用として閉集合やコンパクト集合全体にVietoris位相と呼ばれる位相を入れたHyperspaceの位相的性質を調べた。 Hyperspaceの理論に有限積の理論や集合論的手法であるelementary submodelの応用が有効であることが本研究の中で次第に明らかになってきていたが、elementary submodelの手法を使って得られた結果の中で、その手法を使わない本来の証明が不明なものもあった。本年度は神奈川大学講師の平田康史氏との共同研究で、elementary submodelを使わない手法が開発され、それを使ってHyperspaceについて次のような新たな結果を得ることができた。 定理1.自然数の部分集合全体からなるHyperspaceがorthocompactであることとcountably metacompactであることは同値である。 定理2.任意の順序数のコンパクト集合全体からなるHyperspaceがorthocompactであることとnormalであることは同値である。 定理3.Sorgenfrey lineのコンパクト集合全体からなるHyperspaceはorthocompactである。 系.Sorgenfrey lineの可算無限積はorthocompactである。 これらは2010年6月にメキシコで開催された国際会議INTERNATIONAL CONFERENCE JAPAN-MEXICO ON TOPOLOGY ANDITSAPPLICATIONSで招待講演として発表され高い辞価を得ている。これらの結果はTOPOLOGY AND ITS APPLICATIONSに掲載が受理されている。 また前年度得られた防衛大学の寺澤順氏とのHyperspaceの次元に関する結果がTOPOLOGY AND ITS APPLICATIONSに掲載された。
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