研究概要 |
本研究は、主に2パスデザインについての研究を行った。その中でも代表的な問題であるDudeney集合の構成問題について研究を行った。ここで、「n次Dudeney集合」とは、n次完全グラフのすべての2パス(長さ2のパス)をちょうど1回ずつ含むハミルトンサイクルの集合のことである。Dudeney集合の構成問題は、偶数次のときは15年前に解決されたが、奇数次のときは未解決である。そのため本研究では奇数次について、特にpが奇素数のときのp+2次 Dudeney集合の構成について研究を行った。pが奇素数のときは、p+1次黒色1因子を用いてp+2次Dudeney集合が構成できる。そのため、p+2次Dudeney集合を構成するためには、p+1次の黒色1因子が構成できればよい。しかし、黒色1因子の構成は、次数が大きくなるとコンピュータを用いても難しい。p+1次黒色1因子が存在するための必要条件が、2がpを法として平方剰余であることを利用してコンピュータにより検索した結果、p=7,17,23,31,41,47,71,73,79,89の場合に新しい黒色1因子が存在することが分かった。その結果、それぞれのpに対してp+2次のDudeney集合が構成できた。このうち75次以外のDudeney集合は、別の方法によりすでに存在することが分かっているが、75次Dudeney集合は存在するかどうかが今まで不明であった。今回、上記の方法により、75次Dudeney集合を新しく構成することができた。(なお、p=97については、2がmodpの平方剰余であるが黒色1因子の存在は現在判定できていない。)
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