研究課題
本研究の目的は、必ずしも効率的でない市場における金融商品の価値評価、あるいは必ずしも市場で取引されない資産の評価(リアルオプションやプロジェクトなどの評価)の評価のための価値評価法を確立することであった。このような問題には、無裁定条件の成立する市場の存在を前提にした価格理論である裁定理論は適用できず、新しい価値評価法が必要である。昨年までの研究の成果として、裁定理論によらない価値評価のための価値尺度の候補として、リスク鋭感的価値尺度(Risk-sensitive value measure)が有力であることが示されていたが、今年度には、このリスク鋭感的価値尺度がいくつかある価値尺度の候補の中で最も優れたものであると主張できる根拠を示すことが出来た。さらにこの価値尺度の適用法も検討し、一つの応用例を論文にまとめることが出来た。関連する研究成果として、非完備市場におけるオプションの価格理論モデルとして、レヴィ過程の一つである安定過程を基礎としたモデル[GSP(Geometric Stable Process) & MEMM (Minimal Entropy Martingale Measure)]モデルの有効性を示し、論文にまとめた。関連する研究として、連携研究者・三澤哲也は、「効用無差別価格」に基づいたプロジェクトの価値評価法を簡約化して得られるプロビット確率モデルを定式化し、パイロットシミュレーションよりその有効性を検証した。また連携研究者・藤原司は、1次元加法過程の指数モーメントの表現を研究した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)
リアルオプション研究 Vol.3
ページ: 1-19
"Recent Advances in Financial Engineering"(Proceedings of the 2008 Daiwa International Workshop on Financial Engineering)
ページ: 119-133