研究概要 |
発表論文"A phase semantics for polarized linear logic and second order conservativity", Journal of Symbolic Logic, 75(1) 2010. pp. 77-102では、既存の(証明可能性のための)代数意味論として知られているphase空間に位相構造を加えることにより、極性をもつ線形論理に対して完全性が成り立つ代数モデルが得られることを定式化した。さらにこのモデルを用い二階線形論理の極付き部分体系に対する保存拡大性問題を解決した。 この新しいモデルは、研究初年度に得られたHamano-Scottの圏論構成法(APAL145(2007))を、通常の線形論理のphase空間モデルに適用することにより構成された。極をシフトするための互いに随伴な作用素が、この空間では開核作用素と閉包作用素になっていることを明らかにした。この極付き線形論理のための位相phase空間では、論理学的な正と負が、opennessとclosednessによって自然に特徴付けられることになった。この位相をもつphase空間は二階の極付き線形論理MALLP2に対して完全である。 この位相意味論を用い、Laurentが2002年に与えた問題"二階の線形論理LL2の極付部分体系に対する保存拡大性問題"にたいして、否定的な解を与えた。これを受け、保存性とfocalization性の関連を与えながら、後者を維持するような二階の部分体系LLη2を提出し、これが極付き部分体系に対して保存拡大になっていることを示した。
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