研究課題
複素関数論においては境界値問題は基本的である。これらはCaratheodory或いはWright等により20世紀前半に盛んに研究された。しかし、彼等の結果は境界が極めて特別なしかも簡単な場合に限られており、フラクタル曲線で囲まれた領域には手が出ない状態であった。これは従来、境界値問題は実解析の手法を用いたために微分可能性等の条件をソボレフ空間等により記述せざるをえなかったことによるものと思われる。ところがこの解析法はフラクタル境界に対して、その境界で微分可能性を考察すること自身不自然と思われる。この研究においてはまず、離散ラプラス作用素の反復力学系を考えることによりその境界上のハウスドルフ測度に関する2乗可積分関数を構成する。次ぎにこの基底に対して佐藤の超関数の方法を応用することが可能であることに着目してこの問題の解説をはかった。解決の方法はフラクタル境界に対してしSchauder型のウェーブレット展開を考えこれに対して超関数分解を考えることによりなされた。現在フラクタル境界は単位円周上の自己相似なフラクタル集合に限られているが、ひきつづいで一般なフラクタルについて同様の考察を行う予定である。このためにはシュワルツ・クリストッフェル関数等から生成されるウエーブレットを考察する必要がある。これを実行するためには新しいタイプの離散ラプラス作用素の反復力学系を用意する必要があると思われる。
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Bull. Soc. Sci. Letters, Lodz LVII
ページ: 63-74
Bull. Soc. Scie. Letters, VXIIV
ページ: 75-84