研究概要 |
本研究の目的は,グラフ理論の概念であるランダムグラフと,モデル理論の概念であるジェネリック構造の関係をあきらかにすることにある.その際に研究代表者が目標としていた問題のひとつに「超安定であるがω安定なジェネリック構造が存在しない」ことを主張するBaldwin予想があった.この予想を本研究期間において解決することができたので,その経緯を報告する. まず,筑波大学の安保氏との共同研究により,Baldwin予想の部分的結果を得ることができたので,その結果に関連する内容を2009年7月に開催された研究集会「Model Theory Afternoon with John Baldwin」において発表した.(安保氏との共同研究の論文はMathematical Logic Quarterlyに掲載が確定している.)その際に,集会に参加していたBaldwin氏との議論から新たな着想を得ることができた.そこでその結果をまとめ,2009年8月に開催された研究集会「モデル理論サマースクール」および9月に開催された日本数学会総合分科会においてそれぞれ発表した.さらに,2009年11月に開催された研究集会「モデル理論とその周辺」において,連携研究者である筑波大学の坪井氏,神戸大学の桔梗氏と研究打ち合わせを行い研究は大きく進展し,Baldwin予想の反例があることがわかった.そしてその結果を2010年に開催された国際研究集会「Model Theory Kirishima 2010」において発表した.論文は現在準備中である.
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