研究目的の、実数の部分集合Xと各点収束位相をもつX上の関数空間Cp(X)の局所的性質との関係、および連続関数の擬正規収束に関するScheepers予想について、次の研究成果を得た。掲載雑誌は、11.研究発表(平成21年度の研究成果)を参照。 1.関数空間Cp(X)の局所的性質である、countable fan-tightnessを特徴づけるMenger propertyについて、the Sorgenfrey lineの部分空間がMenger propertyをもつための必要条件と十分条件を記述集合論的な言葉で与えた。特に、実数の部分集合がhereditarily Mengerであることと、対応するthe Sorgenfrey lineの部分空間がhereditarily Mengerであることが同値であることが得られた。また実順序空間において、ある条件のもとではMenger propertyとtotal paracompactnessが同値であることを示した。 2.連続関数の(各点収束より強い)擬正規収束に関するScheepers予想について、Bukovskyにならい上半連続関数の各点収束列の観点から研究を行い、記述集合論にあらわれるσ-setではScheepers予想が正しいことを示した。この際、「Oに各点収束する上半連続関数列は、Oに各点収束する連続関数列を随伴する」という概念(USC)を導入して利用し、一般にこの性質をもつ空間を研究し、他の関連する空間族(γ-setなど)との関連を調べた。 3.Scheepers予想を解決するためにBukovskyが導入した上半連続関数列に関する概念wQN*とSSP*について、「wQN*⇒SSP*」が成り立つかというBukovskyの問題を肯定的に解決した。またScheepers予想に関係するいくつかの被覆性質について、上半連続関数列を用いた特徴づけを与えることができた。この結果と上の2の結果からScheepers予想のとらえ方が明らかとなり、今後の研究継続の足掛かりを得た。
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