研究課題
計画最終年度である本年度は研究の重点を、表記の研究課題の基礎理論面での発展と応用分野である数理ファイナンスモデル関連の数値解析手法の開発においた;即ち、情報先取りのある市場活動のモデル化を念頭に非因果的力学系(システム)のSDEモデルを構築し、そうしたシステムの同定問題の研究を理論及び数値解析的側面から行うこと、及びこれと並行して非因果的初期条件下でのSDEの解の構成法についての理論的研究に取りかかることであった(課題1)。また同定問題の準備的かつ応用的課題として、前年度では金融工学に於ける一般的SDEモデルの数値近似法や係数推定法について主に理論的研究を行ったが、本年度も係数(ヴォラティリティー)推定問題と推定法の開発研究を継続することが課題2であった。第1の課題については非因果的解析の基礎と応用について統一的なノートを作成し、2010年は国内外の研究会にて講演、集中講義を行うことになっている。この課題はこれからも更に着実に進めていくことになる。第2の課題については、2008年に発表したヴォラティリティー推定問題と数値計算法に関する基本的結果をもとに、株価過程にジャンプが混入する場合やジャンプと高周波雑音が混入する場合等、更に複雑な場合に適合した推定法の開発とその動作特性について理論的研究と数値実験を行い、満足しうる結果を得て4本の論文にまとめた。そのうちの2本は既に欧文専門誌に掲載済み(或いは決定)である。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)
Math and Computation, Elesevier, Neetherland (掲載確定)
Monte Carlo Methods and Appl., de Gruyter, Berlin 15
ページ: 353-380