研究課題/領域番号 |
19540162
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
平良 和昭 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (90016163)
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研究分担者 |
川村 一宏 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (40204771)
酒井 克郎 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (50036084)
田崎 博之 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (30179684)
木下 保 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (90301077)
梅津 健一郎 茨城大学, 教育学部, 准教授 (00295453)
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キーワード | 非線型境界値問題 / 位相的手法 / 変分法 / 逆関数定理 / 写像度 / 不動点定理 / フェラー半群 / 解析的半群 |
研究概要 |
本年度の研究実績は、主として、以下に述べる研究代表者の3つの研究成果に分類される: (1)著書「Boundary value problems and Markov processes」では、古典的なポテンシャル論の現代版である擬微分作用素の理論を援用して、確率論の『フェラー半群の境界値問題』について詳しく考察した。応用として、半線型放物型方程式の初期値・境界値問題を、藤田宏・加藤敏夫にその源を持つ解析的半群の分数巾の理論を使って、時間に関する局所的解の一意存在定理を証明した。 (2)非線型弾性体方程式に対する逆間題を研究するための準備として、論文「Introduction to boundary value problems of nonlinear elastostatics」では、順問題を考察する際に基本的な役割を果たす、強解の一意存在定理を証明した。その実解析学的色彩の強い証明においては、確率論におけるフェラー半群の境界値問題を出発点にし、擬微分作用素系に対するべーソフ空間の枠組における有界性定理を効果的に利用した。 (3)フェラー半群の境界値問題についての研究成果によって、半線型楕円型方程式に対する退化型ロバン境界条件の場合に、ルレイ・シャウダーの写像度理論及びシャウダーの不動点定理に代表される位相的な手法を用いることが初めて可能となった。この手法は、古典的な変分法と逆関数定理と組み合わせることで極めて強力な武器を提供し、従来の様々な非線型問題に対する先行研究を統一的に一般化することができた。
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