研究課題/領域番号 |
19540164
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
齋藤 三郎 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10110397)
|
研究分担者 |
松浦 勉 群馬大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80181692)
|
キーワード | 再生核の理論 / 再生核 / チホノブ正則化法 / 数値解析 / 計算機 / ラプラス変換 / 非線形連立方程式 / システムの同定 |
研究概要 |
藤原宏志氏たちとラプラス変換の実逆変換の応用と数値解析的な完成を目指して、研究を進めてほぼ完成の域にまでもって行き、国際特許の申請まで済ませる事ができた。さらに、博士課程の学生山田正人氏たちと (1)2次元実数空間の区分的に滑らかな境界を持つ有界領域上の向きを保つ写像の逆写像に対して、その積分表現公式を与えた。特に、像領域が凸集合のとき、本公式はArctan関数と定義域の境界の座標の中点で表され、境界上の写像の微分値が不要となることを示した。また、本公式は複素微分にグリーンの公式を適用して得られる一般化されたコーシーの積分公式を用いて導出されることを示した。さらに、いくつかの数値実験例を提示し、本公式は、単連結でない有限個の区分的に滑らかな閉曲線で囲まれた領域で定義された関数やヤコビアンがゼロになる場合などの関数にも有効に適用できることを示した。 (2)一般のn次元実数空間の区分的に滑らかな境界を持つ有界領域上の向きを保つ写像の逆写像に対して、その積分表現公式を与えた。本公式は、異なる方法で導出された一変数関数、二変数関数の公式を統一することを示した。さらに本公式は、ポアッソン方程式の解の積分表示から得られる公式を含むことを示した。さらにいくつかの数値実験例を提示し、本公式の有効性を示した。 (3)再生核とTikhonov正則化を用いることにより、物理的実験データに基づく線形システムの新しい逆公式を与えた。特に、本方法は、線形システムに何ら解析的な仮定を置かず、物理的実験データのみを用いて、線形システムの近似逆を求める方法であり、一般的で、大きな線形方程式を解く事に帰着される方法であるが、線形システムを陰に定めるのに入力として再生核を用いる新しい一般的な方法を用いている。どの様な再生核を用いるかは物理的なシステムに依存するもので、具体的な適用には実験と経験を必要とする要素を含んでいる。 さらに澤野嘉宏氏たちと (4)ポテンシャル積分作用素に対するいくつかの不等式を考察した。さらに逆写像の積分表現公式に現れる特異積分に対し、数値計算の観点から考えられる自然な正則化に対し誤差評価を与え、その数値実験例を示した。
|