研究課題/領域番号 |
19540167
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
高橋 渉 東京工業大学, 大学院・情報理工学(系)研究科, 教授 (40016142)
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研究分担者 |
谷口 雅治 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (30260623)
木村 泰紀 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教 (20313447)
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キーワード | 関数解析学 / 凸解析学 / 不動点理論 / 最適化理論 / 非線形作用素 |
研究概要 |
本研究は、種々の不動点定理と最適化理論を介して、非線形問題の解の存在と、その近似に関する問題を究明することを目的としてなされた。集合値写像の研究では、m-増大作用素や極大単調作用素のリゾルベントから導入される新しい4つの非線形写像を定義し、それらの非線形写像の関係を明らかにするとともに、2つの非線形写像の不動点定理を証明した。m-増大作用素や極大単調作用素のリゾルベントの研究では、リゾルベントの極限によって定義される4つの非線形射影について研究し、それらの射影の間の新しい関係を発見した。Banach空間でのm-増大作用素や極大単調作用素に対する零点への近似法の研究では、新しいハイブリッド法(シュリンキング射影法と呼ばれる)を発見し、非拡大作用素を用いて、新しいハイブリッド型の強収束定理を得、さらにMann型の近似法の研究では、擬非拡大作用素に関する弱収束定理を得た。非線形射影の研究とその応用では、4つ目の非線形射影の研究を行うとともに、他の3つの非線形射影との違いを明確にした。また、4つ目の非線形射影の存在に対する必要十分条件も得た。また、4つの非線形射影とバナッハ空間の幾何学(凸性、ノルムの微分可能性など)の関係をも研究した。像再生や実行可能性問題に関する近似法の研究では、ブロック法のアイデアを利用し、有限個または可算個の非拡大写像などの共通不動点を求める近似法を研究し、新しいハイブリッド法による強収束定理を得た。さらに、ここで得られた実行可能性問題の解決法を使って、擬非拡大作用素に関する弱収束定理をも得た。またこれらを非線形最適化問題に応用し、近接点法に関する新しい結果を得た。これらの結果は内外の雑誌に公表され、非常に関心がもたれた。また最近諸外国でたくさん引用されはじめたことを報告しておきたい。これらの成果は予想以上であった。これは科学研究費を使って大量の文献収集やその整理、ならびにこの問題に興味を持っている他大学の研究者との数多くの研究打ち合わせや討論が功を奏した結果であろうと思われる。
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