研究概要 |
交付申請書の「研究の目的」に対応して以下の内容について研究し成果を挙げた: 1.藤解は,与えられた2以上の整数nと超越整函数Eに対してn階線型方程式とその基本解系{f_1,.,f_n}を次のように構成した:Wronski行列W(f_1,.,f_n)が恒等的に1と正規化されており,その積がEに一致する。この応用として,零点分布に特異性のある基本解の系をもつ,整函数係数の正規化された同次n階線型方程式の例を得ることが可能になった。さらに,1.Laine氏と共同してn=2のときに未解決であるBank-Laineの予想について既知の結果の整理や新しい例などを与えた。 2.また,R.Halburd氏とR.Korhonen氏との共同研究としてNevanlinna-Cartanの値分布理論の(q-)差分に対応する評価式を完成し,既知の結果の精密化や評価の最良性を示す例を構成した。この結果を応用して,増大度がある特別な意味で制限きれた有理型函数解を持つ2階差分方程式の特徴づけを行った。 3.下村はPainleve超越函数の角領域における値分布論を研究し,全平面上における自身の結果や関連結果の精密化をおこなった。また,quast-Painleve性やGanier系に関する研究で興味深い成果を得た。 4.森と藤解はQ.Han氏と共同で新たな手法を用いて有理型函数の一意性に関する結果を精密化した。 5.石崎は戸田暢茂氏と共同して,ある種の代数的微分方程式が超越的な有理型函数解を持つ場合について詳細に調査し,その研究結果により本課題の目的遂行に貢献した。 これらの研究はいずれも「研究計画」に沿って実施されたものである。
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