研究課題
正則写像による分岐被覆構造の研究のうち、単純な極因子をもつ有理函数族については、韓国のジェオン氏との議論の中で三重連結なベル表現の標準族が発見され、それらの変形空間の分析研究を行っている。その完成は来年度以降の重要な課題である。多項式の力学的モデュライ空間のコンパクト化は防衛大の藤村氏との共同研究としてProc.AMSから公表されたが、その力学系的意味付けと重要性について、国際集会での発表を利用してアメリカのデマルコ氏らと情報を交換することができた。その過程でまた新たな課題が明らかになり、現在藤村氏と研究を深化させている。特に、有理関数のモデュライ空間についての多くの未解決問題の研究も開始した。その結果、有理関数のモデュライ空間に対する大域的座標の導入にも成功し、以前代表者が行った研究成果の精密化にもほぼめどが立った。それらの定式化をアフガニスタンからの博士後期課程への留学生も加えて、次年度には完成させたい。また、藤村氏とはさらに、ミルナー予想という基本的課題についても研究を進めて、部分的な解決を得ている。来年度には、より一般的な解決を図り論文として公表したい。最後に、一般のリーマン面に対する正則分岐被覆の力学系的研究については、岡山大の松崎氏や千葉大の藤川氏とともに基本的理論を構築し公表したが、その過程で明らかになった幾何学的関数論における古典的定理に関する興味深い応用を別の論文として完成させることができた。その公表は来年度の課題のひとつである。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Proc, Amer. Math. Soc. 136
ページ: 3601-3609
Mathematische Zeitschrift 260
ページ: 865-888