楕円型偏微分方程式の解について、存在と一意性、正則性などの解析的な性質を研究する方法はいくつかあるが、ペロンの方法に代表されるポテンシャル論的方法はその有力なものの一つである。特に、楕円型偏微分方程式の解の研究において、ソボレフ関数は非常に有用な道具となる。本研究では、ポテンシャル論的方法により、ソボレフ関数を利用して、楕円型偏微分方程式の解がもつ解析的な性質を調べることを目的とし、本年度の研究は次のように行った。 楕円型偏微分方程式であるラプラス方程式に関連して、近年、電気流動学や弾性学において、p-ラプラス方程式の指数であるpを変化させて考えると効果的であることがわかり、変動指数をもつ偏微分方程式の考察とそのための関数空間の理論の重要性がわかってきた。そこで、一般的な変動指数の条件のもとで、極大関数の有界性に関する一般的な結果を導くことを目指した。応用として、ソボレフの不等式について新しい知見を得ることができ、ソボレフの定理を発展させることができた。 上記の結果は、国内の研究集会はもとより、ヘルシンキ大での専門家向きのセミナーで発表された。また、研究集会等を通じて、新しい研究の方向を知ることができた。特に、ポテンシャル論研究が盛んなフィンランドの数学者達との研究交流を積極的に行い深めることができた。
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