研究課題/領域番号 |
19540189
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
門脇 光輝 愛媛大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70300548)
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研究分担者 |
渡辺 一雄 学習院大学, 理学部, 助教 (90260851)
中澤 秀夫 千葉工業大学, 工学部, 助教 (80383371)
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キーワード | 平行平板領域 / 消散項付き波動方程式 / 散乱解 / スペクトル / 敷居値 |
研究概要 |
平行平板間領域において短距離型消散項を持つ波動方程式に対する散乱解の存在を2つの方法で証明した(詳細は以下の1と2)。ここでの散乱解とは解が時間発展したときに消散項がない波動方程式の解にエネルギーノルムの意味で漸近する解を指す。平行平板間の波動伝播で問題になるのはスペクトルに現れる敷居値(固有値ではない)の扱いである。 1.レゾルベント評価による証明 昨年度における結果では次元(3次元以上)と消散項の減衰(短距離型よりも狭い)に制約があったが、2次元以上かつ短距離型においても散乱解の存在を示すことができた。証明はレゾルベント評価に基づくKatoのsmooth perturbation theory(1966)を用いたMochizukiの方法(1976)によるが、それのみでは敷居値の特異性を制御できない。そこで特異性を緩和するSmooth operatorを導入し、さらにSimonの近似作用素(1979)とコンパクト作用素の性質を合わせ用いる工夫で証明が成された。 2.Lax-Phillipsのアイデアによる証明 出行入来空間の定義をLax-Phillips(1967)のアイデアに基づいた与え、それを用いてEnss-Perryの方法(1980)に従うことで散乱解の存在を示すことができた。平成18年度時点では、敷居値の影響で、その適用は自己共役系に留まっていたが、上記同様にSimonの近似作用素とコンパクト作用素を利用することにより、消散系への適用が可能となった。
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