連携研究者の石崎克也と矢古宇光徳と半共役の正則関数について考察を行った。そして半共役からアフィン共役が必ずしも成立しないこと、そしてそれらの関数のファトウ集合の形状について結果を得た。これは2つの関数のジュリア集合が一致するかどうかの判定法となる。結果をまとめて、Report of Researches Nippon Institute of Technologyに発表した。この問題はもともと同じ3人で考えていた関数等式の有理型解の問題から派生したものである。この問題についても解の存在定理を示し、さらにそれらの解の複素力学系の立場からの考察を行った。この結果も論文にまとめ投稿中である。 超越整関数が持つジーゲル円板について考察した。ジーゲル円板の境界は特異値の前方軌道の閉包に含まれることが知られている。超越整関数のジュリア集合は非有界である。それ故非有界なジーゲル円板も考えることができる。正弦関数は二つの臨界値を持つが、漸近値は持たない。正弦関数のジーゲル円板は常に有界となることが示せた。また、非有界なジーゲル円板と漸近値との関係を調べた。構造有限型超越整関数の場合には非有界なジーゲル円板の境界上に漸近値が存在することを示した。考察を続けている複素誤差関数は二つの漸近値を持つ構造有限型整関数である。複素誤差関数で二つのジーゲル円板をもつものを具体的に構成した。さらに、漸近値にはdirectなものとindirectなものがあるが、構造有限型はdirectなものしか持たない。indirectな漸近値を持つ具体的な整関数のジーゲル円板とindiregtな漸近値との関係も調べている。
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