連携研究者の石崎克哉と矢古宇光徳と関数方程式f(G(z))=R(f(z))を考察した。ここで、G(z)は多項式であり、R(z)は有理関数である。適当なG(z)とR(z)のもとでの多項式会の存在を示した。一方で解が超越整関数となる場合の位数を求めた。さらに、G(z)の不動点の近傍での局所解の存在定理を示した。また、この関数等式をG(z)とR(z)のf(z)による半共役と見なすことができる。G(z)とR(z)が多項式であるとし、関数方程式が多項式解f(z)を持つとする。このとき、G(z)とR(z)の複素力学系としての性質の関係を考察した。そして、G(z)のジュリア集合がf(z)によりR(z)のジュリア集合に写ることを示した。これらの結果をまとめて論文としたものがComplex Var.Elliptic Equ.に掲載されるとこが決定している。 超越整関数が持つジーゲル円板について研究をした。超越整関数のジュリア集合は常に非有界であるので、ジーゲル円板も非有界となり得る。また、ジーゲル円板の境界は特異値の前方軌道の閉包に含まれることが知られている。特異値とは臨界値または漸近値である。特異値として漸近値を持たない関数として正弦関数を考察した。この場合にはジーゲル円板は常に有界となることが示せた。さらに、構造有限型超越整関数の場合に漸近値と非有界なジーゲル円板との関係を調べた。この場合にはジーゲル円板が非有界である必要十分条件はその境界上に漸近値を持つことであることが示せた。また、漸近値には直接超越特異点と間接超越特異点がある。間接特異点を持つ具体的な関数について、ジーゲル円板と特異点に関する問題を提議した。
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