研究課題/領域番号 |
19540196
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
高橋 泰嗣 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (30001853)
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研究分担者 |
高橋 眞映 山形大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50007762)
加藤 幹雄 九州工業大学, 大学院・工学研究院, 教授 (50090551)
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キーワード | Geometry of Banach space / Uniform non-squareness / von Neumann-Jordan constant / James constant / Modulus of convexity / New geometric constant / Modulus of smoothness / Triangle inequality |
研究概要 |
研究課題「バナッハ空間の幾何学的定数とノルム不等式の研究及びその応用」について、代表者は研究全般・総括を、分担者は代表者に指示された分野の研究を行い、数々の成果を得た。本年度の研究では、特に、バナッハ空間の幾何学的定数に関して顕著な成果を得た。その概要は、以下のとおりである。 1. バナッハ空間の幾何学的性質は、種々の幾何学的定数によって記述される。とりわけ、James定数とNJ-定数(von Neumann-Jordan定数)が最も広く研究されている。多くの研究者たちの最大の関心事は、これら2定数の関係を不等式で表すことであった。2008年、Alonso-Martin-Papiniは、それまでに知られている結果を大幅に改良する不等式を証明したが、それはMaligrandaが提起した問題をも解決するものであった。その論文の中で、「NJ-定数はJames定数以下であるか?」という疑問を提起した。2009年、Wang-Pangは彼らの不等式を改良したのであるが、この疑問を解決するには至らなかった。2009年、代表者は、この疑問を肯定的に解決し、国際雑J. Math. Anal. Appl.に発表した。更なる改良は、その年の9月に九州工業大学で開催された国際シンポジウムで代表者により発表された(招待講演)。関連した結果は、同年9月にイタリアで開催された国際シンポジウムで分担者加藤が発表した(基調講演)。これらの結果は国際的にも高い評価を得た。 2. バナッハ空間Xに対し、新たな幾何学的定数C(X)を導入し、幾何学的性質との関係を考察した。更に、この定数とNJ-定数及びJames定数との関係を単純な不等式で表し、様々な応用を試みた。これらの成果は、関数空間セミナーや学会で口頭発表され、現在、国際雑誌に投稿すべく準備を進めている。 その他、Hlawka不等式や一般的なノルムに関する不等式について、数々の成果を得た。
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