研究概要 |
一般化された特異積分作用素Tf(x)=∫K(x, y)f(y)dyのハーディー空間上での有界性にっいては「T1=0」という強い条件の下で知られていたが,我々は「T1がリプシッツクラスに属する」という条件の下での有界性をこの研究の前に得ていた.研究に入る前はこの結果の応用例として我々が知っていたのは1次元のカルデロンの交換子作用素のみであった. そもそもカルデロンの交換子作用素はもっと大きな問題であるコーシー積分作用素を形式的にテイラー展開したときの初項に相当するもので,もっとも簡単な部分を解いたに過ぎなかった. 今までの研究の過程でコーシー積分作用素の評価には「"Tb定理"が有効であろう」ということが分かって来ていたので,その方向で研究を進めた結果,コーシー積分作用素がハーディー空間から局所ハーディー空間への有界作用素であること証明することができた. これらの結果はどちらも1次元(コーシー積分の場合は複素1次元)なので,さらにn次元の場合のカルデロンの交換子作用素の有界性も証明することができた. このn次元の結果は,もう一つの目標であった電気二重層ポテンシャル作用素の有界性にも応用できるのではないかと考えている.
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