研究概要 |
1研究代表者らは,ある発展方程式Ψ_<tt>-DΔΨ_t=f(x,t;u)のゼロ・ノイマン混合問題のエネルギー評価式を導き、解の存在と挙動について調べ、前年度まで行ってきた本研究課題上の問題をこの枠組みで捉え,数学解析を行った。そして本課題研究の総まとめとして,この形の発展方程式の解の存在の研究が一連の腫瘍成長モデルの数学的特徴づけを与え得ることを示した。実際、体内生命現象、腫瘍の血管新生(走化性)、腫瘍侵潤(走触性)、細胞接着、の各数理モデル、またこれらと数学的同等性が保障された、Othmer-Stevensモデル、これのLevine-Sleemanによる血管新生への応用モデルについて、関連性、同等性と相違点の分析を数学解析を進め、同一の微分方程式のクラスに入ることを示し、共有する数学的構造を通して後者への前者よりの医学的意味づけ、さらにOthmer-Stevensモデルの背景となっている統計力学的視点からの導出原理、Levine-Sleemanによる数学解析の方法を、前者の一連の生命現象の数理モデルに対し適用することで、数学的妥当性を示し、その結果、これら数理モデルの数学的特徴づけがこの発展方程式の初期-境界値問題によってなされ得ることを結論付けた。この結果は、数学解析によって保障されたコンピュータシミュレーション結果とともに研究成果(雑誌論文欄:2、3、4番目)に掲載された。 2Levine and Sleemanによって示された,Othmer-Stevensモデルの爆発解の方法を発展させて、ディリクレ境界値問題の場合に爆発解の存在を証明した。この問題は20年以上前から物理的背景を伴って研究されてきており、方程式が波動方程式型である場合に時間大域解の存在が数多く研究されてきた。しかし、この条件が満たされない場合の解の挙動については何らわかっていなかったが、本研究により一般には時間大域解は存在しないことがわかり、この十分条件の数学的妥当性が保障された。この結果は研究成果(雑誌論文欄:1番目Nonlinear Analysis)に掲載された。
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