研究概要 |
時間遅れをもつ方程式の典型例であるボルテラ差分方程式とボルテラ微分方程式を中心に研究を行い,以下に述べる研究成果を得た。 1.村上は、有限次元空間上で定義された線形ボルテラ差分方程式を扱い,対応する特性方程式の根の分布状況によって、方程式の解の重み関数に関する安定性を特徴づける1つの結果を導いた。また、正の方程式に対して、重み関数に関する安定性にういていくつかの同値な条件によって特徴つげを与えた。特に,正の方程式の場合,多項式程度の安定性をもつためには、方程式中の核が多項式程度の車みつき総輪可能であることが必要となることを証明した。 2.村上は、Pham Huu Anh Ngoc(ベトナム、Hue大学・准教授)や内藤敏機(電気通信大学・教授)等の共同研究において、有限次元空間上で定義された線形ボルテラ微分方程式とボルテラ差分方程式を扱い,万程式の正値正の特徴づけを行った。また、正の方程式に対し,正値行列に関するペロン・フロベニュースの定理を利用して、適用し易いある条件によって漸近安定性の特徴づけをし、さらに、安定性を保存する摂動の大きさ(安定半径)に関する公式を確立し、実数の範囲での安定半径と複素数の範囲での安定半径が一致することを導いた。 更なる研究として、無限次元空間上で定義された積分微分方程式に対して,ある制限の下で,正値性の特徴づけ、正値方程式の安定性の特徴づけなど、有限次元方程式に対する結果の一般化を導いており,近々に公表を予定している。
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