研究概要 |
離散群の研究において離散性の判定条件を求めること、離散群の例を見つけ出すことは重要である。2次元複素双曲空間に作用する等長変換群PU(1,2;C)の部分群のうち特に複素双曲三角群の離散性をしらべた。実双曲空間に作用する三角群についてはよく知られている。三角形のつくる内角によりこの群は決定されるが複素双曲三角群の場合には内角だけでは三角群を決定することはできず自由度がある。内角がπ/p,π/q,π/rとなる複素双曲三角形のそれぞれの「辺」の複素鏡映写像から生成されるPU(1,2;C)の部分群を(p, q, r)型の複素双曲三角群と言うことにする.(p. q, r)型の複素双曲三角群は(共役をのぞいて)1-パラメータの族をなすことが分かる。まず(n, n, ∞)型の複素双曲三角群の離散性について複素双曲版清水の補題とPratoussevitchの離散性の判定に関する結果を用いて議論しどのような範囲のパラメータに対して離散的ではない群が対応しているかを示した.(n, n, ∞)型の複素双曲三角群の特別な元の位数kを決めることによりパラメータに対応する群に名前をつけることができる.それを(n,n, ∞ ; k)型の複素双曲三角群とよぶ。kの値ごとに(n, n, ∞ ; k)型の複素双曲三角群が離散的かどうかを判定しそれをリストにまとめた。これによりnが29以上のときは全て離散的ではないことがわかった。この内容は論文として Canadian Mathemtical Bulletinに掲載されることが決定している。より一般に(p, q, r ; k)型の複素双曲三角群について考察し、離散群になるための一つの条件を示し具体的に離散群の例を与えた。また今までに知られている複素双曲三角群について表にまとめた。これらの結果は Notes on complex hyperbolic triangle groupsという論文にまとめ現在投稿中である。
|