研究課題
研究計画に従い、中桐は研究分担者および海外の共同研究者と協力して、非線形発展方程式の最適制御問題とパラメータ同定問題の理論的および応用解析的研究を行った。1)中桐は、未知パラメータを含む1階非線形発展方程式のパラメータ同定問題に対し、より一般な非線形性の仮定の下で方程式の解を構成し、パラメータ空間から解空間への解写像の連続性とガトー微分可能性を導いた。さらにそのガトー微分を特徴づける変分方程式を求めた。関連するパラメータ同定問題を定式化し、最適パラメータの存在と一意性を示した。さらには最適パラメータの満たすべき必要条件を導いた。2)中桐は海外研究者の協力を得て、強い減衰項を持つ非線形波動方程式の関数パラメータの同定問題を研究した。まず自由系の解の正則性を明らかにし、それに応じた形で観測のクラスと適切な2次出力コストを設定し、最適化の手法を用いて最適パラメータの存在と最適性の必要条件を導いた。3)中桐は海外研究者と協力して、変分法的取り扱いにより、半線形ボルテラ型微分積分方程式の解の存在と一意性および正則性を調べた。その結果を基にして、関連する最適制御問題を研究した。加えて、長期記憶を持つ粘弾性方程式方程式に対し、境界値制御問題の最適解の存在と一意性および最適性の必要条件を導いた。4)中桐は海外研究者の協力を得て、非線形キルヒホッフ型振動方程式の最適制御問題を研究した。制御項は外力によるものとし、観測は全空間における終端値状態観測および分布速度観測と仮定する。解の制御項に関する変分を取るには、解のより強い正則性が必要となり、そのため初期条件の強い正則性条件に反映させた。5)中桐は海外研究者と協力して、線形ファジー微分方程式に対するか制御性の問題を調べ、そのための必要条件を導いた。6)八木は無限次元力学系の立場から、数理生態系に現れる森林動態モデルや結晶成長BCF理論の基礎方程式に対して力学系を構成し、その指数アトラクタの構成や指数アトラクタ次元の性質を調べた。
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