研究課題
平成22年度は計画の最終年度であり、中桐は国内および海外の共同研究者と協力して、非線形波動方程の最適制御問題と放物型および双曲型方程式系の境界制御と安定化問題に重点をおいて研究を取り纏めた。また変形公式法に基づく研究の進展があり、移流拡散方程式系や非局所項を持つ1階双曲系の制御同定問題および境界安定化問題について多くの結果を得た。以上の成果は国内での研究集会及び海外での国際学会で発表した。1.中桐は、非局所項を持つ移流拡散方程式系に対して、変形公式を用いることにより境界制御による安定化問題を解決した。また変形公式を拡張することにより、移流項に関する逆問題を考察し一意性のための十分条件を導いた。加えて、積分境界条件をもつ拡散系に対して任意指数の指数安定性をもつ系に変換する制御則を構成した。中桐はさらに考察を進め、変形公式が非局所項を持つ1階のボルテラ型偏微分積分方程式系にも拡張でき、より広い双曲系に対して零可制御性が成立することを確かめた。関連する連続半群の構造についても研究を行った。2.中桐は海外研究者と協力して、減衰項をもつキルヒホッフ型非線形波動方程式に関する最適制御問題を研究した。さらに長期の非線形記憶を持つ等方的粘弾性体方程式系に対し、系に現れる未知パラメータの同定問題を研究し、最適パラメータの存在と一意性および最適性の必要条件を導いた。3.中桐は海外研究者と協力して、強い減衰項をもつ非線形振動方程式の外力や初期値に関するフレッシェ微分可能性とその連続性を証明した。証明法従来と異なる田邊の手法を用いて行った。そこでの研究手法にもとづき、高階の非線形波動方程式系に対する最適制御問題の研究を行なった。4.中桐は海外研究者と協力して、自由素粒子の量子数値制御問題を考察した。すなわちシュレデンガー方程式で記述される量子系を考え、磁場と電場の無い場合の素粒子を制御するための数値アプローチを提案した。5.中桐は国内研究の協力を得て、3層流拡散型熱交換器系の境界制御問題に対して、適切な意味での境界制御系を構成し、その枠内で境界可制御性の問題を肯定的に解決した。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
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http://www.research.kobe-u.ac.jp/csi-applmath/index.html