研究概要 |
パンルベ方程式を従来と全く異なる観点から統一的に研究するための手段として,グラスマン多様体上の反自己双対ヤンミルズ方程式を射影的ジョルダン群で退化させて得られる行列型の常微分方程式「行列型パンルベ方程式」を導入したが,この行列型パンルベ方程式の解の構造に関し,2つの観点から研究を行うのがこの課題研究の目的である。1つ目の観点は行列型パンルベ方程式の解の変換群の構造の決定であり,2つ目は,Penrose変換(=twistor対応)を利用した行列型パンルベ方程式の解の表示の研究である。 行列型パンルベ方程式MλとパンルベシステムSJとは,J=III',V,VIのときは直接,変数変換で移りあい,J=II,IVのときには,中間の多項式ハミルトン系Nλを経て,変数変換で移りあう。Mλの定義されているグラスマン多様体には共形変換群が作用するが,共形変換群のうちMλの形を保存する変換(ゲージの補正を含む)の成す部分群がMλの解の変換群であり,SJの解の変換群の起源となっている。つまり,この変換群が直接,又はNλの変換群を経由してSJの変換群になることを平成19年度に見出し、平成20年度には、この過程で、パンルベ方程式の2つの代数的特徴付け(ヤング図形による特徴付け、ディンキン図形による特徴付け)の間に関係のあることが分かった。しかし、まだ計算の上手く行かないところがあるため、公表できていない。 最終研究年度である平成21年度には、全体の計算を完成させ、公表し、また、Penrose変換(=twistor対応)を利用した行列型パンルベ方程式の解の表示についての考察を進める。
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