研究概要 |
(1) 「行列型パンルベ方程式」の解の変換群の構造の決定と(2)Penrose変換(=twistor対応)を利用した「行列型パンルベ方程式」の解の表示の研究を目標として研究を行ってきたが,実験計算での見込みに反し細部の証明に矛盾困難が多発し,研究期間最終年度である21年度にも目標(1)を完成できなかった。しかし研究期間最終段階で,以下の成果を得、困難の原因を解明できた。 【成果】 1 Log(x0+x1T+x2T^2+x3T^3+…)=y0+y1T+y2T^2+y3T^3+…とし,Jordan群をJ=J_λ(+)…,J_λ=x0E+x1Λ+x2Λ^2+…で表示するとき,∂y1,∂y2,∂y3がJordan群のLie代数のgeneratorになり,それらはグラスマン多様体(4次元複素時空の共形コンパクト化)の共形変換群のLie代数のgeneratorで書ける。 2 Jordan群不変なゲージポテンシャルΦをdp,dq,drの微分形式で表示するときのp,q,rを,y1,y2,y3に取り直し,従来提唱してきた行列型パンルベ方程式自体を別表示に書き直した方が共形変換群との整合性がよい。〔従来のp,q,rのままで計算したため各種齟齬が生じた〕 3 複素時空のwave operator□は,□=(y1,y2,y3の指数関数)×(∂y1,∂y2,∂y3,∂t,tの式)となる。 【意義と今後】 パンルベ方程式の変換群の由来を複素時空の共形変換群の部分群に求める試み(目標(1))を完成させるには,提唱してきた『ゲージポテンシャルΦ→行列型パンルベ方程式M→パンルベ方程式』と至る従来の過程そのもの(間違っているわけではない)を更に改良し,Mの表示とパンルベ方程式への変形過程自体を共形変換群と整合性のよいものにまずすべきであるとの結論を得た。研究期間を過ぎてはいるが,目標(1)の前提となる関連論文(プレプリント段階)を書き改め,その後,可能な限り早く当初目標の(1)は完成させたい。
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