研究課題/領域番号 |
19540220
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
桑江 一洋 熊本大学, 教育学部, 准教授 (80243814)
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研究分担者 |
塩谷 隆 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90235507)
大津 幸男 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (80233170)
町頭 義朗 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (00253584)
桑田 和正 お茶の水女子大学, 理学部, 講師 (30432032)
石渡 聡 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教 (70375393)
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キーワード | ディリクレ形式 / 調和写像 / 劣調和関数 / 変分収束 / グロモフ・ハウスドルフ収束 / アレキサンドロ空間 / 加藤クラス / 熱核 |
研究概要 |
平成19年度は以下の研究をおこなった。 1.平成18年度において凸空間に値をとる写像に対してボン大学応用数学教室・教授・カール・セオドア・スツルム氏と共同でLiouville型定理の研究を行ったが、その研究結果の一部に不備があることが判明した。より詳細に述べると、確率測度の重心に対するJensenの不等式が、太田慎一が導入したk-凸空間で成立することの証明に不備があり、その内容の訂正と証明を行なった。修正された主張は直径がπ/2未満のCAT(1)-空間に対しての確率測度の重心が一意的に定まり、それに対してJensenの不等式が成立することを示した。このJensenの不等式は有界な凸関数に対するもので、凸関数の上限で尺度変換して直積空間の直径をπ/2よりも小さくすることで証明できることがわかった。またこのような空間で閉凸集合への射影が一意的に決まることも証明の鍵になっている。研究成果はCAT(1)-空間への調和写像の構成とその性質の解明に欠かせないもので重要である。この研究内容はRomania共和国Albac村で平成19年度に開催されたポテンシャル論の国際会議のProceedingsにJensen's inequality over CAT(κ)-space with small diameterの題目で投稿中である。 2.前年度に引き続いて東北大学大学院理学研究科・教授・塩谷隆氏と共同でアレキサンドロフ空間においてリッチ曲率が下に有界の概念をビショップ・グロモフ不等式の形式で導入して、そのもとでラプラシアンの比較定理を行なった。特にリッチ曲率が非負のときに分裂定理が等長同形ではなく同相の形で成立することを示した。平成18年度実績報告において同様な結果が成立することを報告済みだが、さらに拡張可能できることが判明したため、平成19年度は主としてその拡張を模索することに費やされた。分裂定理が等長同形まで拡張可能かどうかはいまだ未解決である。
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