研究概要 |
1.p-調和写像の解析的性質についての研究を行った.n次元Riemann多様体Mから別のRiemann多様体Nへのp-調和写像の列はp-energyが一様有界でもコンパクトになるとは限らないことが知られているが,pがn未満の自然数の場合にはコンパクト性が成り立たない場合に障害として現れるdefectmeasureと呼ばれるRadon測度を(n - p)次元のHausdorff測度とrectifiable集合を用いて具体的に記述できることを示した.さらにその応用としてp-調和写像に対するコンパクト性定理を示した.コンパクト性定理と密接な関係をもつLiouville型定理をp-調和写像に対して証明した. 2.数理生態学におけるパターン形成モデルとして有名なGierer-Meinhardt系で,特に弱い意味での飽和効果が考慮された反応拡散方程式系において,軸対称領域上で,いくつも指定した有限個の点に凝縮した形状をもつ定常解の構成に成功した. 3.Dirichlet境界条件下で,拡散効果を持ったロジスチックモデルにおける漁獲最適戦略問題を提唱し,対応する数理モデルにおける最適戦略解の存在,定性的および定量的性質の研究を行った.この問題は,ある制限された条件を満たす捕獲戦略のうち,魚の定常パターンが持つエネルギーを最小にするような捕獲戦略は何か?を問うもので,漁獲量を最大にする戦略等とは異なり,魚(あるいは魚の環境)にとって最もよい捕獲戦略を考える問題ともいえる.
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