研究概要 |
本年度の研究では、昨年度中に得られた,、、「緯度」のみに依存する場合の非線形楕円型方程式の不完全分岐に関する成果をまとめ、査読付きの国際学術雑誌Discrete and Continuous Dynamical Systems"に投稿し,平成22年度中の掲載が確定した.この成果は,球面上の領域を球面山体に広げるようにした場合の解の挙動について不完全分岐現象がどのように起こり,どのような分岐形状をしているかを解明したものである.この成果は,線形化固有値問題の固有値・固有関数の性質に深く関連することが分かった.この成果を踏まえて,「経度」にも依存する場合の考察を開始している.「緯度」のみに依存する場合は,固有値の多重性が常に1であるが,「経度」依存を加味すると,固有値に多重性が現れ,しかも,領域がほとんど球面を覆う場合には,いくつかの固有値が互いに近いことが分かってきた.固有値が近いことで生じる困難さを解決さを解決すべく研究を進めている. また関連した話題として,ポテンシャル項のついた熱方程式の解の挙動についても研究し,ポテンシャルの減衰と解の最大点の関係を調べ,この成果は査読付きの学術雑誌Advances in Differential Equations"に平成21年度に掲載された.熱方程式であるが,定常解である楕円型方程式の解の挙動が放物型方程式の時間大域的挙動を支配することを明確にした研究結果である.更に,ポテンシャル項の符号が正の場合,楕円型方程式に正値解が存在しない場合があるが,存在・非存在の「臨界」に相当する部分を,Hardyの不等式との関連から現在研究を進めており,初歩的な結果は,平成21年度の京都大学数理解析研究所研究集会で発表した.現在,投稿できるよう原稿を作成している.
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