研究課題
離散的函数方程式の超越的有理型解の値分布的性質を今までの研究と照らし合わせながら行いました。離散的な函数方程式の代表例である非線形差分方程式と非線形常微分方程式との対比を試みました。特に、代数的常微分方程式の解の値分布と超越的有理型解の個数についてある結果を得ました。対応する差分方程式についてどのようなことが成り立つのか研究の方向づけになりました。離散的函数方程式のひとつでもあり複素力学系と密接な関わりのあるSchroeder方程式も研究対象にしました。特に、定義函数を超越的にした場合の取り扱いの基点となる、増大の小さい超越函数についてのValiron-Mokhonko型の評価式に取り組みました。以下に分担者ごとの研究実績を報告いたします。いくつかの点(あるいは点の組)の逆像の一致による有理形関数の一意性定理において、Nevanlinnaの4点定理の重複度に関する条件を弱めました。さらに、点の逆像の代わりに、点の組の別々の逆像の一致による定理も与えました。条件によっては、2つの有理形関数が一致はしないが互いにメビウス変換の関係を得ました。(森)準Painleve性をもつ方程式のクラスでPainleve I方程式を含むものを見出し、その解析的性質を調べました。Painleve Iのタイプの2変数Garnier系についてその特異集合のまわりでの漸近解を求めました。フィボナッチ数の逆数和により定義される数についてその間になりたつ代数関係式を調べました。(下村)超越整函数の力学系について研究を行いました。二つの特異値を持つ構造有限型整函数の力学系の族について、その双曲成分の考察を行いました。(諸澤)有理型函数の角領域での振る舞いや函数の一意性の問題を取り扱いました。また、高階線形方程式の超越解の積の性質を調べました。(藤解)
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