研究概要 |
Saariのホモグラフィック予想-ポテンシャルをVとし,慣性モーメントをIとした時,V\sqrt{I}が一定な運動はホモグラフィックな運動である-を研究する為に,筆者は共同研究者とともに,平面多体系の運動を,回転運動,サイズが変わる運動,形が変わる運動の3つの運動に分解しました.これは我々が初めて成し遂げたことです.これを使って,いくつかの場合についてSaariのホモグラフィック予想が成立することを示すことができました.特に三体問題の場合については,かなり幅広い運動について成立することを示すことができました.筆者らは,これらをまとめてTansactions of the American Mathematical Societyに投稿し,受理されました.現在,校正刷りが届いており,近々出版されるでしょう. 三体8の字解については,補助金で購入したコンピュータを使って,軌道の時間によるテーラー展開を高次まで計算することができました.特に,距離の自乗に反比例するポテンシャルの下での8の字解の場合には,時間の32次の項まで計算することができました.これを使って,8の字解がX座標とY座標の12次までの多項式では表せないことをコンピュータを使った代数計算で示すことができました.また,同じテーラー展開を使って,解の初期値を高精度で計算しました.共同研究者が全く独立に,従来の確立された数値計算法で21桁まで計算しましたが,ここまでは全く一致しています.私の計算は,おそらく50桁くらいまで精度があると予想していますが証明はできません.この初期値が何らかの代数的な値なのかどうかを調べていますが,いまだ何も結果は得られていません.
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