研究課題
本研究の目的は、楕円量子可積分系の代数解析的な構造を解明し、その無限次元の対称性についての理解を深めることである。具体的には、楕円量子可積分系の無限次元の対称性を用いて、その相関函数や形状因子を系統的に求めることを目的とする。その研究目的のため、平成20年度は以下の事項について考察・研究した。(1)は研究代表者、2)以降は連携研究者の研究内容)1)桑野は、8頂点模型の高ランク版である(Z/nZ)対称模型の相関函数を求めるための枠組みを構成した。具体的には、(Z/nZ)対称模型と双対なA型非制限面模型の物理量を(Z/nZ)対称模型の物理量に読み替える際に必要となるテール作用素と呼ばれる非局所作用素のボソン表示を求めた。また、(Z/nZ)対称模型の相関函数を表す積分表示を書き下した。さらに、相関函数のうち最も簡単な1点函数について、積分計算を実行し自発電化を求めた。こうして得られた自発電化が、1993年に桑野自身が相関函数のみたす差分方程式を解いて得た無限積表示に一致することをたしかめた。この一致は、ボソン化構成法が正しいことの証左となる。2)中屋敷は、代数曲線から定義される多変数のシグマ関数について研究しそのべき級数展開の基本性質を証明した。またsl(2)のアフィン量子群の頂点作用素の行列要素の積分表示を従来のものより簡単な形で求めた。3)白石は、楕円代数Uqp(sl_2^)のレベルk表現に関する運動の積分を構成した。また、VirasoroおよびW_N代数の楕円変形に対する運動の積分も構成した。4)長谷川は、神保と坂井による差分パンルヴェVI型方程式について、その量子化を量子群の構造の下で考察した。とくにFaddeev-Volkovらによる量子差分戸田場系との類似に注目し、その非自励化の準周期簡約として量子離散ガルニエ系を得た。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
Journal of Physics A : Mathematical and Theoretical 42
ページ: 165211, 1-20
to appear in Journal of Nonlinear Analysis 未定(掲載確定)
to appear in Journal of Geometry and Symmetry in Physics 未定(掲載確定)
Symmetry, Integrability and Geometry ; Methods and Applications 4
ページ: 049, 1-13