従来の研究では、電気的に非中性である効果が議論されて来なかったことに注意し、本研究では、電気的に非中性な磁気中性面の構造とそこに於ける粒子加速機構を明らかにすることを目的とする。この効果の研究によって従来の観測と理論の矛盾(σ問題)を解決することを目指す。より具体的には、(1)電気力が卓越した磁気中性面(あるいはその列)の構造および散逸過程を解明する。(2)電気的に優勢な磁気中性面と衝撃波との相互作用を調べ、衝撃波の粒子加速について新しいパラメータ領域、つまり静電場を持つ領域、を探査する。 (1)については解析のための粒子シミュレーションコード(Particle-In-Cell)を開発し、磁気中性面のシミュレーションを開始した。結果、開いた磁場と閉じた磁場の境界領域(Ypoint)で間欠的なリコネクションを観察できた(2009年春の天文学会)。そこからのシンクロトロン放射が観測的にFermiで得られているガンマ線の一部を説明できるかもしれないことをしめした。また、磁場の変形の参入を試み初期の結果を得た。解析的な研究の基礎方程式を確立した。(2)については衝撃波後方のシンクロトロン散逸、ピッチ角散乱の効果を観測データを用いて検討をした。結果としてピッチ角の小さな粒子が卓越していると硬X線の観測を説明することを示し、これは従来のピッチ角が大きな粒子が多くなる衝撃波の通説を覆すこととなった。
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