従来の研究では、電気的に非中性である効果が議論されて来なかったことに注意し、本研究では、電気的に非中性な磁気中性面の構造とそこに於ける粒子加速機構を明らかにすることを目的とする。この効果の研究によって従来の観測と理論の矛盾(σ問題)を解決することを目指す。 結果、開いた磁場と閉じた磁場の境界領域(Y-point)で間欠的なリコネクションを観察できた(2009年春の天文学会)。そこからのシンクロトロン放射が観測的にFermiで得られているガンマ線の一部を説明できるかもしれないことをしめした。 また、衝撃波後方のシンクロトロン散逸、ピッチ角散乱の効果を観測データを用いて検討をした。特に、硬X線のカニ星雲の画像に見られる二つ目構造の再構成をおこなった。結果としてピッチ角の小さな粒子が卓越していると硬X線の観測を説明することを示し、これは従来のピッチ角が大きな粒子が多くなる衝撃波の通説を覆すこととなった。パルサー風の終端衝撃波においても磁気リコネクションが重要な働きをしていることが初めて示唆された。 今回検討された効果によっても運動エネルギーが卓越した相対論的な遠心力風をつくることができない。したがって、σ問題は解決しない。むしろ、今回発見された衝撃波内での磁気リコネクションは実はσ問題は存在しない、つまり、運動エネルギーは卓越する必要がないことを示唆している。
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