本年度はまず、昨年度末に取得したUKIRT望遠鏡/WFCAMのデータ解析を行った。そのために新たに大容量メモリを搭載したワークステーションを購入した。すべてのデータ解析は完了し、天体カタログの作成も行った。さらに、その詳細な解析を進めた結果、z=1.5付近の星形成を完了したパッシブな銀河の数が、特に10^<10-11>太陽質量より軽いものについては現在に比べて大幅に少なく、楕円銀河は重いものから順に生成されたという示唆を得た。 また、すばる望遠鏡の赤外線多天体分光器によるz〜2銀河の分光観測を行い、そのデータ解析も行った。この結果、44天体中20天体で強い輝線を得ることに成功した。さらにそれによりzニ1.5-2で10^<10-11>太陽質量より重い星形成中の銀河はほぼその星形成活動を終わらせつつあることが明らかになった。これら天体が、上記のパッシブな銀河に進化してゆく可能性は高い。 以上の結果は楕円銀河が重いものから形成されてきたことを強く示唆し、z=1.5-2はその中でも10^<10-11>太陽質量のものが形成されている時代ではないかと考えられる。 以上の結果は日本天文学会で報告したほか、国際研究会(国立天文台ハワイ観測所主催)でも報告した。 また、さらなるデータ取得を目指して平成20年度3月にUKIRT望遠鏡のWFCAMでの観測提案を行い、採択され、渡航した。しかしながら悪天候のためにデータ取得は叶わなかった。
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