2004年と2005年にすばる望遠鏡の高分散分光器(HDS)を用いて得たこぐま座わい小銀河(UMi)の赤色巨星合計10個の詳細な分光解析を行った。結果として、この銀河の金属量[Fe/H]は-1.5から-3.0の間に分布し、α元素と呼ばれる軽い金属元素の鉄に対する相対組成[α/Fe]は銀河系のハローの星に比べて系統的に低いこと、バリウムなど中性子捕獲過程に起源がある重元素組成に異常を示す星があることなどを見出した。また、UMiの星であるCOS82のスペクトルに重元素トリウム(Th)の吸収線が見られることを発見し、この線の詳細な解析を行った論文を発表した。それらの結果を基に、日本天文学会2007年秋期年会(企画セッション:第一世代天体の形成)において講演を行った。さらに詳細な解析を現在続行中である。 これとは別に、散開星団すばるに属するB型輝線星28Tau(プレオネ)が35年ぶりに新しい円盤を形成し、同時に古い円盤は消滅する過程にあったことを2005年から2007年にかけて観測し、論文を発表した。
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