研究概要 |
平成21年度の研究としては、引き続き主に銀河Arp 220での、アンモニアの吸収スペクトルの線幅の測定法を確立させることを目指し、ほぼ確立することができた。以前判明した、(観測装置の一部である)電波をスペクトルに分解するためのデジタル型の分光計において、スペクトルの強度が場合によっては問題がある件については、データの補正を行い強度的には問題のないスペクトルを得ることができた。 線幅の吟味を行い、線幅についてはこれまでに最も太いと考えられていた(J,K)=(3,3)遷移おいて、ゼロレベルで600-700km/sとなった。これについては、以前の測定結果(1800km/s)と大きく異なっている。その理由については、線幅が時間変動するメカニズムが存在するのか、または以前の測定結果がベースラインのうねりの影響を受けていたのか、さらに吟味が必要であるが、特殊なことがなければ後者の可能性が考えられる。また、(2,2)遷移についても、線幅の吟味を行うことができた。一方、(1,1)遷移については、検出を行うことができなかった。これについては、(1,1)遷移は励起が低いために、輝線が比較的強く出やすく、輝線と吸収線の強度の兼ね合いでこのようになった可能性がある。従って、アンモニアの線幅から系外銀河の中心部の情報を得るには、上記のことに関連して、いくつかの配慮が必要であることがわかってきた。今後Arp 220の結果を取りまとめ、22年度内に論文投稿を目指す。 本科研費に採択されたことにより、上記の研究を実行することができたことに感謝する。
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